zozotown騒動に見る日本のECの問題点

先般顧客のTwitterの発言に反応した、zozotownの社長の発言が問題になり、ちょっとした騒動になりました。

このニュースを読んだときは、正直自分の目を疑いました。
ECサイトを、しかも一時は右肩上がりで成長を続けていた大手ECの社長が、送料に文句を言った顧客に対して、ただでモノが届くと思うなといった反論をする、という神経が僕にはまったく理解ができませんでした。

小売業に従事するものとしてこれほど恥ずかしく、無自覚な行動はありません。

送料がかかる、というのはECの構造的には仕方がないことなのですが、購入商品と同じような金額の送料がかかる、というのは普通に考えて異常なことです。
この異常な状態で運営をしていることを常に問題点として意識し、改善の必要性を感じていれば、ZOZOの社長のようなありえないバカな反応はしません。

どんなに、あとからアタマを下げたり送料無料にしたりしても、結局経営TOPが、顧客に対してなんら敬意を払っていない、というのはっきりした残念な事件でした。

元々ZOZOは、完全定価販売など、基本的に「売る側」の論理で事業を推進してきたサイトです。
メーカーは値崩れの心配がないため商品を積極的に供給するわけですが、単純にいえば、メーカーがよってたかって消費者の利益を侵害しているに他なりません。
まぁ商売ですから、それで成立している間はそれでもいいかもしれませんが、そうそう消費者もバカではありませんから、今後ZOZOが飛躍的に伸びることはないでしょう。

前年にはじめて予算未達成になったZOZOTOWNですが、これは偶然や環境要因というよりも、その事業構造そのものの問題だと思います。

amazonが日本においても他の米国企業と違い快進撃を続けているのは、システム的な問題だけではなく、顧客優先主義が徹底しているからに他なりません。

年間千円ちょっとの負担ですべての商品が送料無料、基本的には翌日配送というのは、ECのひとつの理想形です。

ECのような比較的自由度が高く、競合が激しい業態で勝ち残っていくために必要なものは、システム的な問題云々ではなく、小売業者の永遠のテーマ、つまり「顧客の利益」と「販売側の利益」を高次元でバランスさせる仕組みです。

これは販売事業者のサイズの大小に関わらず、基本的にはすべてのEC事業者に必要な仕組みです。
月商数十億円の事業者であろうと、月商百万以下であろうと、基本的には変わりません。

しかし、商慣習の壁が強固で、独占禁止法が形骸化している日本では、顧客の利益と販売側の利益が簡単に対立します。
その対立を解消するブレイクスルーを考案し実行するのは簡単なことではありません。

しかし、実際に実践している企業も多くあり、そういう企業が着実に成長を遂げています。
単純にプロダクトアウトの発送で価格を設定し、宅配業者の送料をそのまま顧客に請求しているようでは、いつまでたっても店は成長しません。
ZOZOTOWNの未来はあまり明るくないと思えます。

グルーポンは、ほぼ失敗する

サービス開始当初から、日本ではグルーポンの成功はほぼ不可能だと言ってきましたが、案の定、の事件が続発しています。

本来チケットの共同購入という発想自体は悪いものではありません。
ECにおいてもいわゆる共同購入というプロパティはうまく使えば、販売側は在庫処分ができ、ユーザーはお得感のある商品を買うことができるというwin-winの関係が作れます。

さて、問題はここでシステムの提供側、つまりグルーポンが噛んでくることです。

つまり「店」と「ユーザー」の関係以外に「グルーポン」が入ってくるわけですから三者のwin-winが築かれなければ所詮機能しません。

ところが現時点でのグルーポンサービスをはじめとする事業者は自分たちのサービスを成立させるためだけの料金体系を提示しており、販売者に過度の負担を強いています。
その結果がどうなるのかは子供でもわかること。
それを放置するとおせちやたい焼きのような結末になります。

中小規模の販売者が圧倒的な日本で展開するには、販売事業者がどうすれば利益が出るか?また短期的に出なくても、どうすれば運用可能な負担で済むのかをもっとキメ細かく考える必要があります。
「こうだから宣伝になりますよ」という今の謳い文句は、悪く言えば丸め込むための手段としか思えません。

最初にも書きましたがチケットの共同購入という基本的な考え方そのものは悪くないので、是非再考してもらいたいものです。

WEBマーケティングの考察、その4

さて今回はデーターベースマーケティングについて触れる予定でおりましたが、前回の記事についてのご質問などから、ちょっと予定を変更することにしました。

今回は「マーケティング理論の限界」についてです。

マーケティングという概念そもそもが非常に広い範囲をカバーしますので、関連する理論というのは、もう名前を憶えるだけで一苦労というくらい存在します。

しかし、理論には限界があります。

まれに例外もありますが、経済学者と経営者というのは全然別の人種です。
本来であれば、マーケティングの理論に精通していれば、どのような経営環境でもそれなりの力を発揮できそうですが、現実はそううまくいきません。

なぜでしょうか?

理論を実践するにあたって、注意しなければならないことは、実践するのは「人間」だということです。

なにを、当たり前な!

という話ですが、これは非常に重要なポイントです。
人間には感情がありますし、現在の状況や慣習もあります。

ちょっと話が飛びますが、私はかつてずっと胃痛持ちでした(話飛びすぎ?)

慢性胃炎というヤツですね。
超不規則なシフトに加え、労基法なんてクソクラエの勤務体系とストレスかかりまくりのプレッシャー、生まれもっての不摂生な性格などが災いして、いつ胃痙攣が起きるかわからん、という日々を送っていました。

で、医者に行くわけです。
一通り診察を受け、薬をもらい、言われることは毎度同じ

「毎日決まった時間に食事をして、酒、タバコ、コーヒーなどは止めてください」

あの・・先生・・私、早番勤務の日は朝6時出勤、遅番の日は午後3時出勤の勤務体系で、コーヒーは味見の関係上毎日飲むんですけど・・

「でも、胃には良くありません。毎日決まった時間に食事して決まった時間に寝てください」

アホか、っていう気になってきますよね。

と、まぁ「正しい」ことでも「実践」できない環境もあるわけで、単に理論だけを突き詰めていっても主治医と私みたいなことになっちゃうわけです。
内容がエンドユーザーに対するものであれば、分母が非常に大きいので統計学的にも理論どおりに運ぶ可能性は高くなります。

しかし、社内、取引先、などみなさんの周囲の人達や環境となるとそうはいきません。

そこにはマーケティングの理論の実践を阻害する要因がいくらでもあります。

・従来の商習慣
・社内の部署間の対立
・実践する人達のポジションパワー
・他の販売ルートとのコンフリクト

など阻害要因は枚挙に暇がありません。

簡単にいえば、ある部署に「ここをこう変えましょう」という提案をしたとします。
相手が自分よりも役職が上で、頑固なヒトだったら?
「なに生意気言ってんだ」で話が終わってしまうことだって十分ありえます。

また、長年の商習慣となるともっと厄介です。

「今までずっとこうしてきたから」
「みんなこうしているんだから」
「前例が無い」
「そんなの協力してもらえるわけがない」

もう、そこら中阻害要因だらけです。
特に自由競争に慣れていない日本の小売り業界では、この傾向が顕著に現れます。

ましてや人間は変化が嫌いですから。

実際にどんな立派な理論を憶えて戦略をたてたとしても、実際に関係各所が動いてくれなければ絵に描いた餅にすぎません。

マーケティング活動で成功するツボは、案外こういったところにあったりもします。
実際に実行可能な形にどうアレンジしていくのかというが非常に重要で、本の通りにいかないのは、そのような理由によるものです。

マーケティングで成功するためには、マーケティング理論を知っているだけではなく、実際の場にあてはめて、アレンジし、関係各所に対するネゴシエーションの能力など総合的な力が必要になってきます

そのことは、是非心にとめておいてください。

WEBマーケティングの考察 その3

WEBでのマーケティングも初期は、理論ばかり先行していたり、単純にプッシュ型の広告に頼っていたりという傾向が見られましたし、確かに一定の反応も得られていましたが、今日ではかなり熟成されてきた気がします。

また、従来のような単純なWEB広告は効果が減少しているのも事実です。
その1に記載したようにWEB関連事業は堅調な伸びをしめしていますが、唯一前年割れしているWEB事業が広告業だということからも、それが伺われます。

単純なバナー広告やメルマガの送りつけなどは今は効果が激減しています。
媒体も増えすぎていて、ユーザーも選別が厳しくなってきています。

そういう時代に入ってきているので、「広告」→「購買」という一直線のマーケティングは難しい時代になってきました。
広告のクリックレートやLPOだけ考えていても今はなかなか購買には結びつきません。

これは、モールだろうが独自だろうが、最終的には同じと思います。
釣堀に例えると、「楽天」という釣堀に糸たらすか、「Yahoo!ショッピング」に糸たらすか、「Google&YST」に糸たらすか、という違いしかないわけです。

すると従来の直線型の思考だと、短期的「どれだけ広告を打てるか」っていう単純なオチになります。
粗利益の高い商材を扱っているストア、企業はその利率の高さを背景に、ドカンドカンと広告を打ってきて力づくで勝負してきますので、3割程度の粗利益商材ですと、たちうちできません。

では、どうするか?

いくつも考え方はありますが、ここでは最近成果をあげている二つをまず紹介します。

ひとつは「データーベースマーケティング」
まぁ簡単にいうと、既存のお客さんを徹底活用しましょ、っていう話です。
これについては以前の日記でも記載しましたが、続編以降でまたご紹介します。

もうひとつは「囲いこみマーケティング(勝手に命名してます)」

どういうことかと言うと、「釣堀自体を作っちゃえ」っていう考え方ですね。

WEB初期に盛んに「双方向のコミュニケーションが云々」という話題が多かったですね。
理論的には、当時から正しかったのですがインフラが当時は整っていませんでした。
ですので理論先行の代表みたいになっていました。

ところがここにきて、インフラも整い、ネットがあるのが当たり前の生活になってきてから、いろいろな方法で「ユーザー参加」を促す「釣堀」が作られてきています。

これは、ハマると有効です。

インターネット普及前は企業からの情報発信がすべてといって良く、メディアコントロールも可能でした。

しかし、ここまでネットが普及しブログ、SNS、Twitterのようなユーザーが情報発信できるものが増えると、一企業が発信できる情報量などとても追いつくもんじゃありません。
「素人の趣味」というのは恐ろしい力をもっています。
その情報量は企業のもっているものをはるかに上回ります。

ならば、それをセグメントして釣堀を作ってしまい、各種のマーケティングの糸口にしようというのが最近の流れで、これは非常に有効な手段だと思います。

ただし、欠点は「一企業でそれだけの釣堀を作るのは膨大な時間、コストがかかる」という点ですね。
しかし、一度立ち上がってしまえば個別商品の検索順位などどうでも良く、投資分は回収可能です。
また、そのような「釣堀」を作っているサイトにマーケティングの誘致導線を絞っていくのも効果があり、今後主流になってくる可能性が高いと思っています。

【参考サイト:COOKPAD】

http://cookpad.com/

WEBマーケティングの考察、その2

前回は基本的な小売店としてのコンセプトの重要性について書かせて頂きました。

ちょっと、まだWEB上での展開のお話の前に考えなければならないことがあります。

それは「プロダクトミックス」という概念についてです。

これは、全体の販売商品の構成比のことを指します。
最近では、個別商品にスポットをあてて、例えば先日の記事に記載したような薬局であれば、「リポビタンDを購入するユーザーは優良顧客である」という分析があったりしますが、そのような個別ユーザーの選別ではなく、ストア全体の販売商品構成比のことです。

なぜ、これが重要かというと、商材の構成はフラットではマーケティング上都合が悪いからなのです。

皆さんも無意識にやられているとは思いますが「目玉客寄せ用」だったり「検索対策用」だったり、商品にはそれぞれ、ある程度の特性があります。
これらの構成比を把握する、ないしコントロールすることで利益モデルはかなり変化してきますし、売価設定にも大きな影響を及ぼします。

毎度の引用で申し訳ないのですが、日本マクドナルドでは盛んに「チキンタツタ」とか「グラコロ」とかのサンドイッチ類と呼ばれる商品をプロモートします。

ユーザーはこれらの商品につられて店に足を運ぶのですが、マクドナルドのプロダクトミックスの半分は「ドリンク類」が占めているのです。

みなさんはいかがですか?例えば「チキンタツタが期間限定で復活したから食べよう!」と考えて店に行って、注文は「チキンタツタセット」を頼んでいませんか?

ここにビジネスの面白さがあるのですが、バーガー類というのは粗利益が平均で50%あるかないかでしょう。
しかし、同時に注文されるドリンク類は80%~90%もの粗利益があるのです。

つまり、粗利益率の低い商品を一生懸命プロモーションしていますが利益を叩きだしているのはまったくプロモーションしていない商品、ということになります。

単品の粗利益だけに着目するとコーラを宣伝したほうが良いことになってしまいますが、まさかコーラーを飲みにくるユーザーでマックに長蛇の列ができようはずもありません。

自店舗のプロダクトミックスと平均の粗利益率を勘案して販売商品の構成を考えるというのは、非常に重要なことjなのです。

ややもすると皆さんの店でもコーラをプロモートするようなことになっていませんか?

特に悪いのは、単純に卸値に必要な粗利益を乗せて「まぁまぁ他社と違わない売価」でほとんどの商品を構成してしまうようなやり方ですね。
これは前回の記事のストアコンセプトとも深く関連してきますが、このような発想だと、どうしても、「どこにでもあるような」ストアが出来上がってしまいます。

ECの場合は実店舗と異なり、単品ピックアップが多く客単価を上げたり平均バスケット購入個数を上げるのは容易では無いですが、「送料」とか「手数料」にトリック(言い方は悪いですが)を仕掛けるなど、同時購入数を上積みするような誘導方法はいくらもあります。
極論すれば商品粗利益はほぼ無くても、送料を実際に運送会社に支払う送料に100円上積みすれば、1発送ごとに100円の利益が送料から出る、という考え方もあるわけです。

送料はちょっとプロダクトとは異なりますが、このようにプロダクトミックスを把握しておくことで、マーケティングの方向を考える際に幅広い思考が可能になりますし、価格設定も弾力性が出てくるはずです。

WEBマーケティングの考察、その1

先ごろ発表された統計でも、ECは相変わらず堅調な伸びをしてしていますね。
BtoBの市場も広告関連以外は増加基調です。

ですが、個々の店舗さんでは苦しい状況が続いていると感じているかたがほとんどでしょう。

ECも本格的にユーザーに浸透するようになって10年近くになります。

その間市場も大きな伸びを示しましたが、出店数の増加も凄まじく、競合は激化しています。
景気もどん底で、消費者はの選別眼は厳しくなっています。
「欲しいか欲しくないか」というよりも「どれならガマンできるか」「どれは不要か」という消去法に近い選別になっており、過去の法則がなかなかあてはまらない状況ともいえるでしょう。

さて、WEBマーケティングというと、まず目に見える部分ばかりが取り上げられる傾向にありますが、特にECの場合「小売店」としてのコンセプトが明確になっているか?競争力があるか?ということをまず考えなければなりません。

実は今日、近所の個人経営の薬局が、トイレットペーパーの安売りをしていました。
非常に小さい店で、普段はまず客はいません。
典型的な「昭和」の商店という店です。

普段、まず人影を見ない店に長い列ができていましたので、私も何事かと見に行ったのですが、本日限りのタイムセールで新聞チラシを持参してきた人は6ロールのトイレットペーパーが99円で買えます。
ちなみに、大体スーパーなどでは250円前後で販売されている商品です。

この店の近くには同様の薬局が2店舗あり、さらにスーパー、コンビニ3店舗が同一商圏にあるという立地です。

見ていると例外なく、お客はトイレットペーパーのみを買っていきます。
チェリーピッカー大集合という感じですが、当然といえば当然です。
この店で他の商品を購入する合理的理由はなにも無いからです。

こういう店で目玉商品で集客するのはビジネスとしてはなんの意味も持ちません。

品数でも勝てない、価格でも勝てない、品揃えの妙があるわけでもない。

結局99円のトイレットペーパーで利が出ない限り、このセールの意味は無いような店です。

実は、ECにおいても同様のストアが非常に多いのです。
モール出店している店の8割以上が、このようなストアといっても過言ではありません。

どのようにサイトを構成するか?
画像はどうする?
説明文は?SEOは?

といった以前に「小売業として成立するのかどうか」という部分が曖昧になっています。

例えば、家電を販売していたとします。ECでも実店舗でも良いです。

品揃えもそこそこ。

価格は定価ではないが大手量販を下回れない。

決済や配送などは他のモール店舗と同じ。

・・・売れるわけがありません。

どんなに画像が綺麗でも、説明文が丁寧でも、です。

例えば、上記の家電のような型番商材は比較検討が容易ですので、価格優位性が無いと、販売は非常に難しくなります。

商材ごとにポイントは異なりますが、まず小売店として他店に対する優位性をどう築くか?
このポイントを曖昧なままにしては他のマーケティングはほとんど意味をなしません。

極端な話をしますが、もの凄い広告費をかけてモールのトップページで宣伝をし、集客し、
期間限定プロモだの、リスティングだのを片っ端からやり、SEOも業者に依頼して数百万かけてチューニングしてあったとします。
さて、売っている商品が動かないパソコン、とか、穴の開いた鍋だったら売れますか?

ストアコンセプトが曖昧で、全部「そこそこ」の商材を扱っているというのは、壊れたパソコンほど酷くはないのですが、集客云々以前だ、ということになるのです。

マーケティングとはアドバタイジングやプロモーションとは異なります。
マーケティング活動の第一歩であり、もっとも重要なことはまずストアのコンセプトの確立です。

(続く)