EC運営の基礎 その5 こだわりの店は必ず失敗する

良く「こだわりの店をやりたい」といった内容のご相談を受けます。

「こだわりの店」といった語感は、普通ポジティブに捉えられていますから、そのせいもあるのかもしれません。
もちろん、小売業を営む以上サイトの規模に関わらず「こだわり」というものは重要です。
これは小規模ショップから上場企業のショップまで同じです。

しかし、相談を受けるケースは十中八九「こだわり」の意味を履き違えています。

商品の鮮度にこだわる、発送の速度にこだわる、価格にこだわる、など消費者にきちんとメリットがある部分で「こだわり」を発揮するのは良いことだと思います。
他店にできないサービスや品揃え、価格など消費者に対して説得力のある部分でのこだわりは競争力を高めます。

言い換えれば「自社が勝負していく上では、このフィールドは譲れないので徹底的にこだわる」とう姿勢は正しいということです。

ところが下記のような「こだわり」は大変危険です。

「この商品は気に入ったから、これを売る」
「自分の趣味にあった商品を選んで共感してくれる人に買ってもらえるようなこだわりのセレクトショップでやっていく」
「自分が作ったこの商品はこんなに良いんだ。だからこれにこだわって売っていく」

これは、こだわり、というよりただのワガママです。
小売業というものは自分の価値観にお客様をあわせるものではなく、お客様の価値観に自分をあわせるのが仕事です。
個人の趣味であれば結構。
気に入った人にだけ買ってもらえれば良い、というスタンスでも構いません。
しかし、そのスタンスでいくならそのスタンスに徹底するべきです。
つまり、売上や利益を気にしてはならないということになります。

一昔前、ガンコオヤジ系のお店をマスコミが面白おかしく取りあえげていたことがありました。店に入ったら喋ってはいけないラーメン屋とか食べ方をいちいち指図するような店が「こだわりがあって」「だからうまい」的な論法でもてはやされていました。
まぁ、お話のネタとしては面白いかもしれませんし、一時的な流行りはあるかもしれませんが、所詮これらも趣味の延長です。
こういう店がビジネスで大成功したという話を聞いたことがありません。

それでも立地条件に守られているような小規模なビジネスであれば食べていくことぐらいできる可能性はありますが、もともとECという業態は成功か失敗しか無いビジネスですので、「食べていくことぐらいできる」というビジネスサイズにコントロールすることが難しい業種であり、まったく参考にはなりません。

商品や価格設定など、小売業としての基本についてはシリーズの最初に記載しましたが、同じ事です。
いくら思い入れのある商品でも、一定の露出をして売れないのであればスパっと切り替えることができなければECでの成功はおぼつきません。

ユーザーはユーザーの都合でしか行動しないものであって、お店の都合など一切関係ありません。
ちょっとでも商品や取引条件が気に入らなければ他で買うだけです。
長い付き合いがあっても概ね関係ありません。

ビジネスとして成功を目指すのであれば、自分の価値観ではなくユーザーの価値判断を把握するように努め、柔軟に対応するのが最低限の条件になります。

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