EC運営の基礎 その7 ECの利益構造 その2

当社のブログ等でたびたび触れている話ですが、利益について考える場合最低限ただしい財務諸表の作成と、その読みこなしは不可欠です。

難しい話は専門の本にお願いするとして、まず根本である「粗利益」と「営業利益」について考えてみたいと思います。
もちろん弊社は会計の会社ではないので、税務署に出す書類になんと書くのが良いのか、という話ではなく、それらの利益の数字が意味するところを読んで、販売戦略の立案に役立てていただくのが目的です。

・粗利益

簡単にいえば「売上-売上原価」です。これは皆さん理解されていることと思います。
ここで考えるべき点は2つあります。
ひとつは粗利益が決定される要素はなんだ?ということです。
算式に出てくるのは、売上と売上原価しかありません。ということは売上があがるか、売上原価が下がれば粗利益は増える勘定になります。
これも皆さん理解されていることと思います。

問題はここからです。
売上原価が変動費である以上、ここでいう売上というのは売価に近い意味になります。
個別商品ごとに粗利益を算出することを考えていただければすぐにわかると思います。
と、いうことは「売価をあげるか」「仕入れを下げるか」で、個別商品の粗利益率はあがります。
ところが、もうひとつ考えなければならないのはストア全体の売上です。
粗利益率をあげるために好き勝手な売価をつければ、売上高は当然下がります。
ですので、皆さん意識しているにせよ、無意識にせよ「最大限の粗利益があがる売価」を模索して、売価決定をしているはずです。
ということはどういうことでしょうか?

売価はマーケットの状況に左右されるということになります。
つまり、売っている商品の商品力が強ければ売価は比較的強気に設定が可能で、粗利益も高くなる、ということです。
逆に売っている商品の商品力が弱ければ、マーケットの圧力にモロに負けますから売価は下がり、粗利益は減ります。

すなわち「粗利益」が現しているものは扱っている商品の商品力だということになります。商品力というのは必ずしも市場の「人気」という言葉とは同義ではありません。
市場で人気があっても、同じ商品を扱っている競合が多いようなものは商品力としてはけして強くありません。極端なことをいえば「需要が多く」「独占販売」の商品があれば売価は好き放題につけられます。
自社のみで売っている人気のブランド品などは、これに近いことになります。

いくら以上で売らなきゃ儲からない、とかこれ以上下げたら赤字だ、という観点で売価を決めるのは普通といえば普通なんですが、「なぜ儲かる値段で売ることができないのか」という点をツメていかないと、問題は解決しません。
・売上原価と仕入れ金額

単純にいえば、ひとつの商品を売った場合、その商品の売上原価と仕入れ金額は原則一致します。しかし、総額でいったらこれは全然一致しません。
ある商品を100個。500円で仕入れたとします。仕入れ金額は5万円です。

1、売価2000円で20個売った
2、売価600円で完売した

上記1のケースでは、粗利益は3万円になります。2のケースでは粗利益は1万円になります。
しかし、手元キャッシュは1のケースでは2万円ショート。2のケースは1万円残ります。

つまり粗利益3万円ではオカネが不足し、粗利益1万円だとオカネが残ったということになります。
これの極端な例が黒字倒産というヤツです。

一般的に資金繰りを考える立場の中小企業の経営者の方は、1の例に対して「損をした」という感覚に陥ります。
しかし正確には、2のケースよりも利益はあがっているわけです。
こういった問題は、単純に売価設定や販売方法にのみ原因を求めるのは少し違いますね。
もちろん無茶な売価設定をして販売数が伸びなかった場合、このような問題は大きくなりがちです。しかし、もし売価が適正と考えられ、2000円で20個売ったのが営業的には妥当であるならば、資金繰りのため600円で売るという選択肢は本来取るべきではありません。もちろんカネがなきゃ仕方ないんですが、それは経営的な問題が大きい部分ですから解決方法も資金の借入や、支払いサイトの見直しなどになってきます。
粗利益という要素だけをとってみても、ざっとこれだけ考える要素があり、運営の舵取りは簡単ではありません。
数字を正しく理解し、問題を切り分けて最適な解決策を探していく、という作業がストアの運営基盤を強固なものにしていきます。

例えば、売価が高くできず支払いに追われている状況で、とりあえず投げ売りして資金を確保する、というアプローチのみで終わってしまうストアと、有利な条件での仕入先の開拓や、支払い条件の変更のための努力などを同時に行い続ける店とでは数年後に大きな差がついてきます。

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