マクドナルドの60秒サービスは”退化”

日本マクドナルドが、ピークタイムに60秒で商品をサーブできなかったら、バーガー類の無料券を配る、というキャンペーンをはじめました。

すでに巷では「ラッピングが汚い」「中身がぐちゃぐちゃ」など不評ですが、そもそもマクドナルドがサーブタイムをわざわざキャンペーンとして打ち出すこと自体、今の同社の苦しさを表しているといえます。

もともとマクドナルドは、商品をストックして即時にサーブすることを「売り」にしていました。当時はピークタイムは「30秒以内にサーブする」ことを目標としていましたが、それはあくまで数多くあるマックの内規のひとつでした。

しかし、ビンストックを作ってサーブする方法の場合、10分間という「ホールディングタイム」を過ぎた商品は廃棄する規則であったため、この「完成品ウエスト」のコストがバカになりません。10分のホールディングタイムでウエストを出さずに製造量をコントロールするには一定以上の客数がいることが条件になります。
客数の減少に伴う廃棄ロスコストの上昇で、マックは「made for you」というシステムを開発。長年のストックオペレーションをやめ、受注製造に切り替えてきました。

当然ある程度のサーブ時間は犠牲になりますが、今回キャンペーン展開していることからわかるように、受注製造でも60秒でのサーブは可能だったわけです。

本来マクドナルドは顧客サービスに関しては他社の追随を許さない徹底したオペレーションをおこなう企業であり、物理的に60秒でサーブできるものであれば「して当然」という考え方があってしかるべき企業だったはずです。
それがわざわざ60秒でサーブすることを宣伝しなければならないほど手詰まりになっているのが現在のマックなのでしょう。

しかも、60秒でサーブすることを主眼にし顧客がなおざりになっているオペレーションが横行するありさまです。

ラッピングの不備など、上記に記載したことももちろんですが、私が経験した例ですと、意図的にレジ台数を減らすということもおこなわれていました。
つまり、カウンターに使用可能なレジが4台あり、クルーが4人いたとします。
お客が列を作っていても、レジを2台しかあけずに、レジを受けない2名を「バックアップ」といってドリンクを作ったり商品を並べたりする仕事をさせます。
いってみれば1台のレジを二人がかりで捌くわけです。

こうすると当然サービングタイムは短縮されますが、レジが2台しか開いていないわけですから、列に並んでいるお客が希望の商品を手に入れるまでの時間そのものは、特に短縮されません。
4台オープンして2分でサーブしても同じことです。

結局たいしてユーザーにメリットは無いわけで、それどころか60秒以内を目指すあまり商品のクオリティが落ちるという「あってはならない」事態が発生しているわけです。

外食産業で無敵の強さを誇ってきたマクドナルドは、キャンペーンの力や商品開発力はもちろん、他社の追随を許さない「徹底した品質とサービスの管理能力」が、その力の源泉でした。
これは表面上の分析ではわかることではなく、また例え他社がマネをしようにもあまりにも厳しい品質基準やサービス基準であるため、とても採用できるものではありませんでした。

「無敵」であったころのマックであれば60秒サーブを声高に宣伝することも無かったでしょうし、サービングタイムの基準を守るために品質が低下することを許すこともなかったでしょう。

なぜマックが無敵だったのか?

その原点に立ち返ってもらいたいものです。

コメント

コメントを受け付けておりません。